働きマン
[第1話]
松方弘子(菅野美穂)<28才・元巨乳>は、大手出版社・豪胆社内にある週刊 『JIDAI』 の編集者。発行部数60万部を誇る週刊誌の編集で、常に全力疾走している。10/10放送
今日も弘子が出社すると、編集部は、校了日を迎え戦場のような慌しさだった。部内を歩きながらテキパキと指示を出すデスクの成田君男(沢村一樹)。その指示を受けて、それぞれの仕事を片付けていく編集者たち――編集2年目の渚マユ(平山あや)、芸能・風俗担当の小林明久(荒川良々)、文芸担当の梶舞子(吉瀬美智子)、事件担当の堂島保(野仲イサオ)。そんな中、弘子も、バリバリと仕事をこなしていた。
弘子は、校了前になると眠ることもままならず、シャワーと着替えのためだけに家に帰るほどのハードなスケジュールとなる。ゼネコンに勤める山城新二(吉沢悠)という同い年の恋人がいるが、デートもままならない。ようやく校了を迎え、ほっとする編集部員たち。そこに、新人の田中邦夫(速水もこみち)が『JIDAI』に配属となり、指導係を無理やり命じられる。口が悪く生意気な田中に編集部員たちは不快感を隠せない。しかし、編集長の梅宮龍彦(伊武雅刀)の発案で部員全員で飲みにでかける。新二とのデートのため、それを抜けてきた弘子だったが、新二から突然、そのデートをキャンセルされる。しかし、「これで眠れる」 と、ついホッとしてしまう始末だった。こんな状況になっても、弘子は働くことが大好きだった。
弘子は梅宮から彼女の企画を通すことを交換条件に、新人・田中の指導係を命じられる。若くて生意気な田中の態度はひどく、取材もインターネットから情報をひっぱってくる始末。そんなやり方に弘子は我慢がならない。
しかし、弘子が苦労して取れなかったアポを難なくとり、その取材のため、2人で外務大臣・星川光(勝部演之)の元を訪れた。しかし、2時間待たされてようやく始まった取材は、大臣の次の予定のためあっさりと終了させられ、好感度のあがる記事を書いてくれとプレス用の写真を渡される。去る大臣に、「大臣にとって外交とはなんですか?」と質問を投げかけるが、それも交わされてしまう。思わず悪態をついてしまった弘子に、大臣の第二秘書・関口歌子(夏木マリ)は 「大臣は理想も美学ももっちゃいないわよ」 と、意味深な言葉をぶつけた。
後日、弘子は新二と久しぶりのデートをすることになった。新二の仕事が雨のため、早く終わったのだ。しかも今日はつきあい始めた記念日だ。
待ち合わせ場所に向かう途中、そのことに気付いた弘子だったが、歌子から何やら “大臣とカネに関する話” をしたいとの電話を受けた。その話が内部告発だと感じた弘子。一瞬、自分を待っている新二の姿が浮かぶが、次の瞬間、タクシーをUターンさせ、歌子の指定した場所に駆けつけた。
歌子の話の内容は、弘子の読み通り、星川外務大臣の機密費流用に関する告発だった。編集部に戻った弘子は、スクープをつかんだことを報告し、これを受けて編集長・梅宮龍彦(伊武雅刀)は、巻頭8ページ総差し替えで次号に掲載すると決断した。それは弘子にとって最高に気持ちいい瞬間だった。
「仕事モードオン、男スイッチ入ります!―――働きマン!」
一度スイッチが入ると、脳内の血中濃度があがる。目の前の仕事のことしか見えなくなり、通常の3倍の速さで動きだす。まるで男のように働きだすことから 「働きマン」 と呼ばれる弘子。働きマンに変身した弘子は、フルスロットルで原稿を書き始めた。こうして書き上げた弘子のスクープは、週刊 『JIDAI』 最新号の巻頭を飾ることになる。
新二に電話して謝る弘子に、新二は「スクープおめでとう」と明るく言ってくれたことに感謝していた。
しかし、翌日、大臣の星川は、すべてを秘書の歌子のせいにし、釈明会見を開いた。そのことで編集部に、弘子への苦情や脅迫が殺到する。
弘子は歌子の疑いを晴らす記事を書きたいというが、デスクの成田に止められる。
弘子は歌子の携帯の留守電に、「記事のせいでご迷惑をおかけしました」とメッセージを吹き込む。
その日の帰り、弘子は尾けられている感じがし、足早に歩いた。と、尾けていたのは弘子の天敵・菅原文哉(津田寛治)だった。彼は大臣の不倫疑惑を半年も前から追いかけていたのだ。なのに弘子の記事で警戒され、自分のスクープがパーになってしまったと語る。そんな菅原に、弘子は「歌子の居場所を知らないか?」と問う。すると、菅原は思いがけないことをいった。歌子は大臣の20年来の愛人で、最近、大臣が若い女に走ったため、リークしたのだろうと。つまり、弘子は利用されたのだと。
菅原と別れた弘子は、歌子のことを考えながら、家へと向かっていた。その途中、また尾けられている感じがし、急いで家に戻る。部屋に入った弘子のところに、ちょうど新二から電話がある。恐怖感から「今すぐ来て」という弘子。しかし、新二は出張のため、甲府にいた。弘子は泣きたくなったが、ここで泣いたら新二は車を飛ばして帰ってくるだろうと思い、「大丈夫」と言ってしまう。
弘子が冷蔵庫を開けると、ケーキとともに、「仕事がんばれ」という新二からのメッセージが入っていた。甘い生クリームをなめながら、涙をこぼす弘子。翌日、親友の荒木雅美(佐田真由美)から「恋愛を優先しなさい」と諭されているところに、新二からの電話が入り、記念日をやり直そうといわれる。
一方、弘子は何度も歌子に電話をかけていた。何回目かの電話のとき、歌子は電話に出た。歌子は「私はウソをついていない。しかも、今回のことは復讐ではない」と語る。そして、今回、電話に出たのは、もう電話をかけてこないようにいうためだと言い、電話はきれた。
弘子はもう一度、デスクに「歌子の疑いを晴らす記事をかかせてほしい」と頼みこむ。が、そんなリスクはおかせないと成田は取り合わない。編集長の梅宮からも「今、自分ができることをやれ。でなければ、おまえに編集者の資格はない!」といわれる。
記事を諦めようと自分に言い聞かせ、歌子の言葉を思い出していた弘子だったが、ふと、「あれは復讐ではない!」と気づく。そして、菅原のところに行き、「歌子は愛する人と決別するためにしゃべったのだ」と話す。それを聞いた菅原は、弘子にロッカーの鍵を渡した。その中には、菅原が今まで集めた大量の資料が入っていた。
弘子は考えた。こんなとき、自分ならどこに行くか―。大量の写真を見ながら、弘子は歌子の行先を察した。働きマンのスイッチが入ったのだ!
会社を飛び出そうとする弘子は田中と出会う。「朝、原稿送るから待機してて」という弘子に、「今日こそデートなんじゃないですか。迷わず仕事ですか」という田中。そんな田中に弘子は「私は迷わず仕事を選ぶ自分をカッコイイだなんて思ってない。不安で不安でたまらない。ただ、アンタみたいにラクして生きたいとも思わない」といい、深夜バスで新潟へと向かった。
弘子が新潟の日露友好ハウスにたどり着くと、歌子はそこにいた。ここは歌子と大臣との思い出の場所――外交のスタート地点だったのだ。その写真に写った歌子の顔は輝いていたからと弘子は話す。自分だったら、最初にデートした場所に行く、と。
弘子は歌子に「告発する気がないなら、ラブレターだしません?」と提案する。大臣にこの20年の思いの丈をぶつけてはどうか、と。そして、ラブレターという名の告発文をとることに成功した。
仕事だけが人生じゃない。でも、私は仕事したなーと思って死にたい――弘子はそう思うのだった。
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