不毛地帯
[第7話]
11/26放送

副社長・里井(岸部一徳)は壹岐の活躍に危機感を募らせ、一層、壱岐(唐沢寿明)が率いる業務本部と対立が激化する。

壱岐は役員会議の席で「重工業化に対応するため、繊維部門の縮小」を発案するが、そんな壱岐に「作戦参謀気どりはやめろ」と野次を飛ばす理事まで現れる。里井も壱岐の提案に反対した。

その夜、里井を連れて料亭に出かけた社長の大門(原田芳雄)は「なぜ、もっと大きな立場に立って壹岐を使おうとしないのか」と里井を諭す。さらに大門が“里井=近畿商事のナンバー2”と認める発言をすると大変気分を良くして、今後は大門の方針に従うと約束した。

この頃、アメリカは日本政府に対して自動車産業に対する“資本の自由化”を要求していた。しかし、資本の自由化が実現すれば、アイチ自動車と日新自動車以外の自動車メーカーはアメリカの“ビック3”に吸収されてしまうと予測された。

壹岐は、“資本の自由化”は国際企業とのビジネスのチャンスだと考え、兵頭(竹野内豊)たちに情報収集を指示する。

その頃、里井は千代田自動車の営業担当専務・村山(田村亮)と会い、新車の開発に会社の命運をかけていることや、もし、開発が失敗したときには、富国自動車との合併を考えていることを打ち明けられる。

そんなある日、壹岐に小出(松重豊)から電話があり、レストランで会うことに…。小出は、千代田自動車が社運をかけて開発中の「115」の設計図と写真を壹岐に見せると、「これを千代田自動車に200万円で買い取ってもらいたい」と言い出した。それを預かり、千代田自動車の技術担当常務・小牧(小野武彦)に見せると、確かに「115」の設計図と写真だという。小牧は「ここからは、自分たちが直接小出と交渉したい」と壱岐に申し出る。

翌日、壱岐は小牧と会う。小牧は、小出に金を渡したことを報告する。さらに小牧は壱岐に「技術力を見てほしい」と頼んできた。さらに、小牧は、千代田自動車の営業担当専務・村山が里井と組んで、富国自動車との合併を画策していることもサラリと漏らした。

その夜、壹岐クラブ『ル・ボア』を訪ねると、里井と村山が会っているのに出くわす。村山と壱岐は名刺を交わすが、壱岐は小牧と会ったことは内緒にした。村山はそこで合併話を匂わす話をする。

ある日、壹岐は、里井たちに報告をせず、千代田自動車の厚木工場へ「115」を見学に行った。そこで壱岐が目にした「115」の試作車は、じつに見事なフォルムの立派な車だった。

近畿商事に戻った壱岐は、兵頭から千代田商事に関する報告を受ける。報告から、壱岐は、千代田自動車は販売ルートが強化できれば自主独立の可能性が判断する。

ある日、アメリカの自動車産業ビック3の1社・フォーク社の会長(アレキサンダー・バリ)が緊急来日した。会長の目的は、東和自動車のロータリーエンジンの見学だというが、会長のかたわらには東京商事・鮫島(遠藤憲一)の姿が…。鮫島の意図を探らせるがわからない。

そんななか、紅子(天海祐希)から電話が…。クラブ『ル・ボア』に千代田自動車・村山がいるからすぐ来るようにというので壱岐が急ぐと、そこにいたのは、千里(小雪)と能楽師の丹阿弥泰夫(加藤虎ノ介)だった。なんと、泰夫は村山の甥だったのだ。そして、今夜は“千里との婚約”を報告に来たという。店をあとにする前に、千里は壱岐に「今夜は東京のホテルに泊まっている」と囁く…。

壹岐がひとりで飲んでいると紅子が近づいてきて千里が「東京のホテルに泊まっている」と口にしたのは、「自分の気持ちに区切りをつけたいから」と告げる。そして千里が宿泊しているホテル名とルームナンバーを書いた名刺を壱岐のポケットに入れた。しかし壱岐が千里に会いに行くことはなく、そのまま自宅へと帰宅する。

壹岐が自宅に帰ると、玄関先に小出の姿が…。壱岐が声を掛けると、先日の礼を言いに来たと笑い「これからもよろしく」と言葉を残して去っていった。壱岐が家に入ると、佳子は壱岐の帰りの遅いことを心配して待っていた。佳子は壱岐に「小出と何かあったのか」と尋ねる。しかし仕事のことを何も話そうとしない壱岐。そんな壱岐に、佳子は感情を露にして涙を流した。壹岐は佳子をそっと抱き寄せると、謝る…。


一方、大門は“フォーク会長を歓迎するレセプション”に出席する用意をしていた。ところが、急遽、歓迎レセプションに会長が来ないという報告を受ける。フォーク会長と接触する機会すら得られない大門は、怒りを露にするのだった。

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キャスト
壹岐正 / 唐沢寿明(からさわとしあき)
1912年生まれ。陸軍大学校を首席で卒業したエリート軍人である。
第二次大戦中は、軍の最高統帥機関だった大本営の参謀として作戦立案をしていた。
終戦を受け入れない関東軍を説得するため、停戦命令書を携えて満州に向かう先でソ連軍に拘束された。
その後軍事裁判で強制労働25年の刑を宣告、シベリア極北の流刑地ラゾに送られた。
11年間に及ぶ強制労働に耐え昭和31年に帰国。
帰国後近畿商事に入社。
兵頭信一良 / 竹野内豊(たけのうちゆたか)
近畿商事東京支社鉄鋼部勤務。
陸軍士官学校の壹岐の後輩にあたる。
近畿商事の将来を世界的な視点でとらえている。
商社の世界に戸惑う壹岐の、良き理解者となる。
壹岐佳子 / 和久井映見(わくいえみ)
壹岐正の妻。
壹岐の陸軍大学校時代の担当教官であった坂野の娘である。
壹岐のシベリア抑留中は女手ひとつで二人の子供を育てた。
大阪府庁で働いている。
壹岐直子 / 多部未華子(たべみかこ)
壹岐の娘。
佳子の苦労を目の当たりにしてきたため、壹岐に二度と戦争には関わらないでほしい、と懇願した。
父の商社就職を心から喜んでいる。
川又伊佐雄 / 柳葉敏郎(やなぎばとしろう)
防衛庁の空将補で、噂によると次期空幕長らしい。
自衛隊のあり方に疑問を抱いているので、自分が空幕長になって、自衛隊を国民に認められるものに変えたいと考えている。
壹岐とは陸軍士官学校時代からの同期で、親友。壹岐がシベリアに抑留されている間は佳子に仕事を紹介するなど、壹岐家を支えた。

貝塚道生 / 段田安則(だんたやすのり)
防衛庁官房長。
警察出身の元内務省役員。鮫島と手を結び、防衛庁の次期主力戦闘機にグラント社のスーパードラゴンを採用するよう総理派に働きかけている。
芦田国雄 / 古田新太(ふるたあらた)
川又の部下。防衛部の防衛課計画班長。
小出とは防衛庁空幕時代の同僚である。
金と女に目がないが、気の弱い臆病な男。
谷川正治 / 橋爪功(はしづめいさお)
満州関東軍の幕僚。
壹岐ともどもシベリアに送還。
帰国後は、シベリア帰還者と遺族のための組織「朔風会」運営。
竹村勝 / 中丸新将(なかまるしんしょう)

秋津紀武 / 中村敦夫(なかむらあつお)
大陸鉄道司令官、中将。
壹岐とはシベリア抑留中にハバロフスクで再会した。
極東軍事裁判に、ソ連側の証人として出廷することを強要され、一度はそれを受け入れた。

秋津精輝 / 佐々木蔵之介(ささきくらのすけ)
秋津中将の息子で、千里の兄。
フィリピンで終戦を迎えた。多くの部下を死なせてしまったことに大きな責任を感じ、仏門に入って厳しい修業をしている。
秋津千里 / 小雪(こゆき)
大陸鉄道司令官・秋津中将の娘。
京都に住んでいる。夢は陶芸家である。
壹岐に「父の最期について話を聞かせてほしい」と手紙を送る。
亡き父の面影を感じさせる壹岐に心を惹かれる。
久松清蔵 / 伊東四朗(いとうしろう)
経済企画庁長官。
国防会議のメンバー。国防会議では防衛庁の次期主力戦闘機を決定する。
壹岐とは、戦時中に早期和平工作について議論しあった仲で、旧知の間柄である。
政界や官僚とのつながりがとても広い。
田原秀雄 / 阿部サダヲ(あべさだを)
毎朝新聞政治部記者。
現在は防衛庁の、次期主力戦闘機の機種決定に関連する問題を取材中。
ジャーナリスト魂にあふれる人間。
新聞記者ならではの情報で、鋭い視点で壹岐らに迫る。
浜中紅子 / 天海祐希(あまみゆうき)
クラブ「ル・ボア」経営者の娘。
店でピアノの弾き語りをしている。
情報通で、商社の人間とも交流が深い。
兵頭とは以前からの顔なじみ。
鮫島辰三 / 遠藤憲一(えんどうけんいち)
東京商事航空機部長。
「航空機の東京商事」という実績を築いた人物である。
防衛庁の次期主力戦闘機には、グラント社のスーパードラゴンを推している。
目的のためには手段を選ばない男で、別名「空のギャング」。

大門一三 / 原田芳雄(はらだよしお)
近畿商事代表取締役社長。
開拓精神旺盛で、大局を見極め大胆な施策を打ち出すトップらしさ溢れる人物。
近畿商事の国際化にあたって、壹岐の情報収集力や状況分析力に目をつけ、近畿商事で働かないかと誘う。
里井達也 / 岸部一徳(きしべいっとく)
近畿商事東京支社長。
鉄鋼や航空機を扱う東京支社のトップ。防衛庁の次期主力戦闘機受注を獲得するために、防衛庁の中枢と太いパイプを持つ壹岐を航空機部に異動させればよいと提案する。防衛庁の次期主力戦闘機にラッキード社のF104を推している。
松本晴彦 / 斉木しげる(さいきしげる)

小出宏 / 松重豊(まつしげゆたか)
近畿商事東京支社航空機部に勤務。
防衛庁の次期主力戦闘機受注のために、川又の部下である芦田に接触。
かつては防衛庁の防衛部調査課班長であったが、近畿商事に機密情報を漏らしたことが発覚しかけたのをきっかけに近畿商事に入社という過去を持つ。
自分を拾ってくれた近畿商事に恩義を感じて、実績を挙げようとしている。
海部要 / 梶原善(かじはらぜん)

塙四郎 / 袴田吉彦(はかまだよしひこ)


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