白鵬､思わず悔し涙 3場所連続全勝Vも…

名古屋場所の千秋楽､横綱･白鵬は結びの一番で把瑠都を上手投げで下し､15日制が定着した1949年夏場所以降では史上初となる3場所連続全勝優勝を決めた｡
しかし､日本相撲協会が天皇賜杯授与を自粛した表彰式では思わず涙｡
言葉が出ないほどに号泣する横綱の姿に､会場からは大きな拍手が起こった｡

｢一番うれしいのは今場所15日間､応援してくれたこと｡名古屋の皆さんに感謝です｣(スポニチアネックスより)

野球賭博､暴力団関係者とのつながり｡
角界の黒い部分が次々と露呈した名古屋場所｡
会場が満席となったのはわずか4日｡
国技を一身に背負ってきた横綱は､それでも見守ってきてくれたファンに感謝の言葉を述べると､涙が止まらなくなった｡

15日制以降では最大差となる4勝差をつけての圧倒的な優勝にも関わらず､その表彰式もわずか8分で終了した｡
通常､優勝力士には20以上の賞が贈られるため30分以上かかっていたが､協会が外部の賞を辞退したため､白鵬に授与されたのは賞状と優勝旗のみ｡
その後､支度部屋で｢新潟激励賞｣として同県の泉田裕彦知事から県産コシヒカリ600キロの目録を贈られたが､

｢この国の横綱として力士の代表として天皇賜杯はいただけたらなとつくづく思う｡国歌が流れて､土俵の上を見たら賜杯がなく､悔しくて…｣(同)

国技であるにもかかわらず天皇賜杯を授与することを許されなかった横綱は声を殺して悔し涙を流した｡

名古屋場所結びの一番は､歴史的な大相撲だった｡
右四つがっぷりの体勢で引きつけ合いを繰り返したが､最後はこん身の上手投げ｡
初場所から続く47連勝は昭和以降､単独3位となる大記録だ｡
千秋楽結びでの白星は13場所連続｡大横綱･双葉山を抜いて史上1位となった｡

｢自分たちの手で国技をつぶす気なのか｣(同)

場所前には賜杯授与自粛を決めた協会を批判するような発言をして物議を醸したが､それだけ相撲を思う気持ちは強い｡
自身も軽微な賭博をやったと協会に上申し､付け人が野球賭博に関与｡責任を痛感していた｡

｢こんな場所は2度とない｡反省を抱え､前向きに考えていきたい｡こういう場所を経験できたので､あらためて頑張りたい｣(同)

涙のあまり､それ以上の言葉が出てこない｡
会場を｢白鵬コール｣が包み込む｡
誰よりも相撲のことを考えてきた男の姿に､見守る人々の目はあたたかだった｡

(2010年7月26日)

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