エターナル・サンシャイン
曲者揃いのスタッフ・キャストが贈る、突飛的なラブ・ロマンス。
(2008/10/16)

監督はビョークの6本のミュージックビデオやリーバイスのCMなど、ユニークな作品を数多く手掛け、様々なギミックを多用した癖のある映像作りで定評のあるミシェル・ゴンドリー。今回も、彼の初長編作品でカンヌ国際映画祭にも正式出品された「ヒューマンネイチュア」(01)で脚本を務めたチャーリー・カウフマンとタッグを組み、ダークで心理的かつ摩訶不思議な独特の世界観を創造している。カウフマンは「マルコヴィッチの穴」(99)や「アダプテーション」(02)に引き続き、突飛なストーリーの中で観客を混乱させつつ、執拗に人間の内部をえぐる独特の作風を展開。また、曲者揃いの出演者も本作の特徴のひとつ。画面いっぱいにはしゃぎ回るコミカルな演技が印象深い、「ブルース・オールマイティ」(03)のジム・キャリーが控えめで内向的な寂しい男を演じて新境地を開拓。「タイタニック」(97)の印象を吹き飛ばすケート・ウィンスレットのぶっ飛んだ演技も見事。その他にも、クリニックの受付嬢役に「スパイダーマン」(02)のキルスティン・ダンスト、技工士に「ロード・オブ・ザ・リング」シリーズ(01-)のイライジャ・ウッドと「死ぬまでにしたい10のこと」(03) のマーク・ラファロと超豪華!原題の「エターナル・サンシャイン・オブ・ザ・スポットレス・マインド」は、直訳すると“潔白な精神の永遠の陽”というなんとも哲学的なタイトル。これは、アレクサンダー・ポープ著「エロイーザからアベラールへ」から引用された語句だそう。ちなみに、「イン・ザ・ベッドルーム」(01) のトム・ウィルキンソン演じる医師が劇中で所有する会社ラクーナ社の架空のウェブサイトがlacunainc.com(英語のみ)で見ることができる。かつてポール・トーマス・アンダーソン監督が、映画「マグノリア」(99)で、トム・クルーズ演じるフランクの留守番電話を仕掛けたように、このサイトもあたかも実在する会社のように見せかけている。そんな遊び心がいかにもこの作品らしい。



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